明治薬科大学 講演会 『中性子捕捉両方の原理とがん治療への展開』
柳衛宏宣先生は本学の寄付講座 「がん先端治療学:アルファ 粒子線・免疫治療学教室」教授で、中性子捕捉療法(Neutron Capture Therapy:NCT)をアメリカより導入され、京都大学原子炉実験所および日本原子力研究開発機構炉で臨床試験を実施されています。NCTは、 それ自体には癌細胞への細胞障害効果を持たないボロン(10B)やガドリ ニウム(157Gd)化合物を熱中性子とがん細胞の中で反応させ、 ボロンの場合はα線で、ガドリニウムの場合はγ線と電子線により約数mmの限定的細胞障害効果を発現します。NCTによるDNA障害は耐性機序を作れないため新規の粒子線治療として期待されています。先生は、日本のNCT療法の第一人者で、現在、癌細胞選択的に送達される新規10B/157Gd中 性子捕捉化合物の開発を行っています。ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)の治療対象は悪性脳腫瘍等を対象として行われましたが、現在、世界的に症例数が多い肝臓癌、肺癌、再発乳癌、消化器系癌などへの応用も始まったところです。今回のがんプロICT特別講演会では、最先端を進む中性子捕捉療法の概説と、新規10B/157Gd中性子捕捉剤及びドラッグデリバリーシステムの開発について2回に分けてわかり易くお話しいただけます。